QLOCKTWO(クロックツー)|銀座蔦屋コラボモデル

QLOCKTWO(クロックツー)という時計をご存知でしょうか?
ドイツ発のブランドでして、優れたデザインで数々の受賞をしています。

今回は、このQLOCKTWO(クロックツー)さんが銀座蔦屋さん限定で発売された平安堂モデルのお話をさせて頂きます。

  1. QLOCKTWO(クロックツー)さんのご紹介
  2. 今回のコラボにあたり
  3. いざ製作に

QLOCKTWO(クロックツー)さんのご紹介


(代表的な作品の1つ。クラシック クリエーターズ エディション《錆》)

時計という機能を有した「モダンアート」という表現が正しいと思いますし、現実的にインテリアとして購入されている方がほとんどだろうと思います。
写真の通り、時計ではありますが、数字がありません。
文字の組み合わせで時間を教えてくれます。

上記の写真は「IT IS HALF PAST SEVEN」
7時30分ということですね。

想像豊かな表現方法とクールなデザインで、私も初めて見た瞬間からQLOCKTWO(クロックツー)の虜です。

写真はアルファベット表記ですが、日本語表記など、各国の言語に合わせたバージョンも開発されています。
(20カ国語に対応しているとのことです!)

クロックツーさんの情報はこちらのページに簡潔にまとめられています。
ご興味ございましたらご覧ください。

今回のコラボにあたり

今回は、QLOCKTWO(クロックツー)さんが、GINZA SIXにある蔦屋さんで限定モデルを販売したい。日本中、世界中の人が集まる銀座で、日本の美しい工芸品を、この時計に装飾したい。
ということで相談を頂きました。

弊社がChopard(ショパール)さんに提供している文字盤に感動されて相談に来て下さったということで、こちらも感激をしていましたが、最初はそのようなご縁です。

その時まで、私もクロックツーさんのことは存じ上げませんでしたが、実物を拝見し、冒頭に書かせて頂きました通り、その美しさと想像力にいたく感動したと共に、「これ、漆器で作れそうだな!!」「これ、漆器にしたら絶対に素敵に仕上がるな!!」と内心でガッツポーズをしていました。
また、食器以外で漆器の美しさを表現出来ることは非常に価値があると考えておりまして、今回は時計ではありますが、インテリアやモダンアートというジャンルだと思っていますので、そのような観点からも、このオファーは是が非でもやりたいなと思った次第です。

漆は天然の塗料です。
塗料なので色々なものに塗装は可能ですが、被膜の厚みがあることと、乾燥(硬化)まで時間がかかることから、凹凸の強いものに塗るのは得意ではありません。
今回の文字盤は(数字を使わず、文字のみで表現しますから、これこそ本当に文字盤ですね)、文字を抜いているものの、基本的にはフラットな構造です。

また、この文字盤そのものを木で製作してくれという話になりますと、きれいにレーザーでカットするのも大変ですし、ロットの問題も発生してきます。
また、木は反ってしまうリスクがありますので、この大きさになると不安があります。

今回は、ドイツから金属の文字盤を支給して頂けるということで、木で作るという難題も回避することが出来ました。

塗装の難易度、木で作るというロットや技術面、将来的な変形のリスク、これら全てが回避することが出来たということになります。

写真だと分かりにくいと思いますが、こちらの品物は、45センチの正方形でして、結構なサイズ感でございます。
あとは、この大きなサイズの板を実際のサンプル製作で満足できる品質で仕上げること。
これが弊社の課題。
あとは、ドイツ本社側で弊社とのコラボの許可を貰えればGOとなります。

細かい部分は割愛させて頂きますが、ドイツ本社側の方々も非常に関心を示してくださり、日本語表記の弊社HPを隅々まで見てくださり、最終的には「龍シリーズのこのデザインでサンプルを作って欲しい」とまでご指示を頂けました。
感謝です。
龍シリーズの記事もございます。よろしければこちらもご覧ください)


(このデザインがドイツ本国で高評価を頂きました)

いざ製作に

限定販売先となる、銀座蔦屋さんの了解も得られ、ドイツ本国に送付したサンプルも問題なくGOサインを貰え、いざ製作に。
サンプルを1度製作していますので、製作自体はスムーズにいけます。
今回は、まあよくあるケースではありますが、納期が短いことが難敵でした。

しかしながら、先に書かせて頂きました通り、「食器ではない漆器」は弊社の重要なテーマですし、インテリアやモダンアートに属するものを漆器で作るチャンスはそうそうございません。
まして、今、最も旬な商業施設GINZA SIX、その中でも最も集客力があるテナントさんである銀座蔦屋さんで展示されるとなれば、漆器の美しさを多くの方々に見て頂ける素晴らし機会です。
職人さんに、今回の仕事の意義を納得してもらい、まあまあ無理をして貰いました。

QLOCKTWO(クロックツー)さんも、今回のプロジェクトに対して大変に意欲的でして、最後の蒔絵工程を、わざわざ弊社工房のある福島県会津若松市まで見学に行かれました。
普段は公開していない工房ではござますが、せっかくのご縁でしたので、弊社としても喜んで見て頂きました。



(1枚1枚手書きし、本金粉を蒔いています)

2月24日販売スタートで、弊社の納品が2月21日。。
本当にギリギリのスケジュールでしたが製作完了となり、無事、2月24日の販売を迎えられました。


(発売当日の銀座蔦屋さんで撮影。大きく取り上げて頂いていまして感謝です)

こちらの品物に関しては、詳しいプレスリリースが銀座蔦屋さまのHPに掲載されております。
是非、こちらも合わせてお読みください。
限定12枚のみの販売となっております。

最後に

漆の美しさは、食卓の上だけではなく、可能性は無限大だと思っております。
むろん、食卓の上、つまり食器としての漆器はとても大事ですが、今回のように、インテリアとしての漆器は機会が少なく、本当に嬉しいチャンスを頂けました。
企画を持ちかけて頂いたQLOCKTWO(クロックツー)の皆さま、そしてGOサインを出して頂いた銀座蔦屋さまには大変感謝をしております。

また、このように、お話を頂けるだけではなく、最終的なプロダクトまで作り上げることが出来ますと、私の夢物語ではなく、共感してくださる方がいらっしゃることを実感することができ、自信にも繋がります。
インテリア、アクセサリーなど、今までとは違ったキャンパスで、漆器や平安堂の良さを表現していきたいと思っておりますので、また、そのような漆器にご期待頂ければ幸いです。

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ABOUTこの記事をかいた人

漆器 山田平安堂とHeiando Barの代表取締役。 昔はお酒が飲めなかったのに、今ではお酒マニア。 漆器とお酒の魅力を伝えます!